日本最北端の地、北海道宗谷岬。
対岸にロシアの大地を眺めてから1週間後、僕は日本最南端の有人島である波照間島へ足を踏み入れていました。
波照間島と宗谷岬の距離は実に約3000km。気温も一気に10度→30度となり、もはや別の国に来たような感覚すらあります。
波照間島と言えば青い海!
そして南十字星!
金田一少年の事件簿を読んで初めてその名を知り、10年越しくらいに訪問が実現した、日本の最果て波照間島の旅行記をまとめてみようと思います。
ANAで名古屋から石垣島へ
波照間島は、日本最南端の有人島。
沖縄本島や石垣島よりも遠く、もはや台湾のほうが近いです。
東京からのアクセスだと、石垣島まで約2時間半のフライト。そこから離島フェリー(1日3便のみ)に乗り換えて、1時間~1時間半ほど大波に揺られると波照間島に到着します。
(波照間空港は存在してるのですが、今は利用されておらずサトウキビ畑に包囲されてました
僕の場合は、名古屋⇒石垣島をANAで移動。
今回の波照間島1人旅はSFC修行(ANAの上級会員を取るための旅)でもあるので、プレミアムクラスでのフライト。食事やお酒などのサービスがつきます。
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特に国内線であれば5000マイル程度貯めればタダで往復可能ですし、別記事でゼロからマイルを貯めてハワイに行く方法を紹介しているので合わせて読んでみてください。
フェリーで波照間島へ
2時間30分におよぶフライトを経て石垣空港へ。
暑い。
もう10月なのに、8月の東京と変わらないサンサン太陽です。
ひとまず空港からバスで石垣島市街へ。
さっそくフェリーターミナルから波照間島へ…の前に、まずは石垣島最大の商店街であるユーグレナモールで買い出し。なにせ波照間島にはスーパーもコンビニもありません。
1ヶ月前に、台風直撃した宮古島でサバイバルした経験もあり、いざという時に備えてカップ麺やカロリーメイトなど非常食を買い込みます。
(台風シーズンは、マジで準備したほうが良いです)
いよいよフェリーで波照間島へ!
ただ、波照間島行きのフェリーは1日3往復のみ。
おまけに波による欠航率が凄まじく高いことで有名です。なんと月によっては欠航率50%以上で、台風シーズンで運が悪いと1週間以上も島に閉じ込められます。
また、このフェリーすっごく揺れます。
「波照間島 フェリー 酔う」
とかで検索してみるとわかりますが、波照間島旅行者が船酔いの洗礼を受ける様子が事細かに記されているほどです。
ちなみに僕の場合は波照間島から石垣島へ戻る際のフェリーがめちゃくちゃ揺れた…というか飛んでた気がします。
時間的余裕と船酔いの試練を乗り越えた者だけが、波照間島へ入島できる資格を持ち、今回無事に僕はその試練を乗り越えて日本最南端の地を踏むことができました。
波照間島を折りたたみ自転車で1周してみる
自転車で1周できるサイズなので、旅用の愛用折りたたみ自転車を持ってきました。
自転車にまたがり、さっそく波照間島探索へ!
どこまでも広がるサトウキビ畑、郷愁を感じさせるまっすぐ続く電線、ときおり顔を覗かせる海、下り坂を駆け下りるときのそよ風…そしてヤギ。
えっ、君柵越えてんじゃん。
まさか野生のヤギ?
ちなみに後から宿のお姉さん(福岡出身)に聞いた話によると、彼らは野生のヤギではなくみんな飼いヤギです。しかもヤギ汁とかの材料らしいです。
続いては、街の様子。
と言っても人口500人の島なので、そもそもコンビニとかは1件もありません、コンビニ&スーパーに相当する共同売店は昼食時間とかは店じまいするマイペースさです。
売店にて、運良く「幻の泡盛」と呼ばれる泡波をゲット!
そして自転車で島を半周したところで、とうとう日本最南端の地に到達しました。
もちろん、最南端の海だからと言って特別何か違うわけではないのですが、実際にその場に立つと感慨深いというか、「ここも日本なんだよなぁ..」と不思議な気分です。
ニシ浜を堪能する
次の日。
いよいよ波照間島の代名詞とも言える、ニシ浜へ。
ニシ浜は日本のベストビーチランキングで1位に輝いており、ハテルマブルーと呼ばれるその海は、日本のどんなビーチよりも青く輝き美しい…らしい。
自転車で坂道を下る。
すると、今まで見たことのないほどの青色が目に飛び込んできます。
こんな青い海が目に入ってきたら、自然とペダルを漕ぐ足にも力が入ります。まるでニシ浜に吸い込まれるかのように立ち漕ぎで坂道を下っていきました。
そして、ニシ浜に立った瞬間ひたすら広がる青色!
ビーチに行っても泳がない、海に近づかないことに定評がある僕でも、さすがにニシ浜を見たときは海辺に駆け寄ってしまいました。
だってこんな色の海を見たら、近づかずにはいられないですよね。
しかも、この日から宿泊先はニシ浜の目の前。
部屋から、そしてテラスからニシ浜がいつでも見渡せる絶好のロケーションで、ボンヤリ海を眺めているだけで時間が過ぎていきました。
波照間島の事情
宿泊事情:ペンション最南端がおすすめ
波照間島にはホテルと呼べるものは存在しません。
家族経営の民宿が大半で、正直なところキレイとは言いがたいです。あと、夏場は特にですが虫との遭遇は避けられないと思ったほうが良いです。
一番おすすめは、僕も宿泊した「ペンション最南端」ですね。
ベランダからニシ浜が見える立地、(波照間島の中では)比較的キレイな建物。さらには朝食と夕食も出してもらえて、ペンションの屋上で寝転べば満天の星空が見える…
波照間島では最高の立地です。
ただし、虫は出ます(笑)
夜になればペンションの壁に大量のヤモリ(さすがに部屋の中にはいないです)、そして部屋のカーテンにはムカデがペタっと…10月でこれなので、冬を除けば虫との遭遇は覚悟しましょう。
あと、ペンション最南端は競争率が高いです。
ネット予約は不可能で電話予約のみ。予約開始は2ヶ月前から(8月に宿泊したいなら、6月1日から電話予約受付開始)なので、事前に予約しておかないと宿泊は難しいです。
1泊8000円と比較的高め、また沖縄特有の「ゆんたく(夜のおしゃべりタイム)」はないですが、波照間島にリゾート的な癒やしを求めてくるなら、ペンション最南端がオススメです。
飲食事情:島に10件くらい飲食店あり
人口500人ほどの波照間島ですが、飲食店は多少あります。
カレー専門!ラーメン専門!みたいな感じではなく、島料理を中心に何でも扱っている店が多いです。また、幻の泡盛と呼ばれる「泡波」が波照間島の飲食店では格安で飲めます。
みんぴか
かき氷のお店。
ボリュームたっぷりでめちゃくちゃ美味しいです。
味〇(みまる)
居酒屋。
中華料理っぽいメニューあり。
あやふふぁみ
島料理。
どちらかと言うと、健康食っぽい?
おっさんと2人で波照間島の星空を眺める
波照間島と言えばエメラルドブルーのニシ浜。
そして南十字星です。
日本で南十字星を観測できるのは沖縄以南の一部地域のみで、日本最南端に位置し、光源もほとんどない波照間島は南十字星の観測スポットとして有名です。
波照間島のマンホールも南十字星モチーフだったり。
ただ、正直なところ僕は星というものに興味がない。
たしか夜空を見たのは小学校5年生くらいの時に「じゃあ、オリオン座を次の授業までに見つけてみようねー」と言われた時だけだった気がします。
しかし、せっかく波照間島へ来たわけです。
たとえ時期的にすでに南十字星は見ることができなくなっているとしても、星空観測タワーのツアーに参加してみることにしました。
宿のお姉さんに波照間島のヤギの真実を聞きながら、真っ暗な夜道を車で送迎してもらうこと10分くらい。星空観測タワーへ到着しました。
「あ、じゃあこのへんで待っていてもらえますか?」
受付を済ませタワーを上ると、明かり1つない展望台に1人取り残されてしまいました。…正直、こんな暗いところに1人で取り残されるとさすがに怖い。
そのあたりの物音に敏感になりながら待つこと10分くらい。
受付のおっさんが上ってきて
「じゃあ、始めましょうか」
と声をかけてきました。
え、他の星空観測ツアーの参加者は?
もしかして僕1人?
僕1人のために時間をとってもらうのも申し訳ないと思うと同時に、初めての天体観測がおっさんと2人きりという悲しみ。
満天の星空を独り占めできるのは良いのですが、受付のおっさんまで1人占めしたくない。結局、無事2人きりの天体観測がスタートしました。
そしてそれと同時に
「うわっ!」
と思わず声が漏れてしまうほど天井には星空が広がっていました。明るいところにいるときはそれほど見えなかった星が、今にも降ってきそうなほど散らばっています。
よく「星の数ほど…」という例えを使いますが、星は数え切れるものではない、という意味を初めて心の底から理解できた気がします。
「あれがデネブ、アルタイル、ベガ…」
とおっさんの説明を受けている最中も、流れ星がバーゲンセールのように降ってきます。流れ星ってこんな簡単に見れるものだったのか!という衝撃。
最初は星空なんて…と思っていた僕ですが、波照間島の星空とおっさんのおかげで、一瞬で天体観測の魅力にハマってしまいました。
結局、星空観測ツアーが終わってペンションに戻った後も、ペンションの屋上で2時間くらい星空を眺め続けていました。今思い出してもあれは至福の時間でした…
波照間島から現実へ…
名残惜しくも波照間島を離れるときがやってきました。
今日も青く輝くハテルマブルーのニシ浜の様子を目に焼き付け、フェリー乗り場で最後に見つけた「波照間島 星降る島の黒糖アイス」なるものをお土産に出港。
途中、フェリーが飛ぶように揺れて
「やばい、アイスなんて食べるんじゃなかった…」
と少し後悔しつつも何もおこらず無事石垣島へ到着。
石垣空港へ移動する前にふと興味本位で「泡波」を探してみると、なんと石垣島では1万円超えのとんでもない値段で販売されていました。
これ本土に行ったらいくらで売ってるんだ…
そして石垣島から中部空港へ!
飛行機の窓から見える石垣島の様子を眺めつつ、プレミアムクラスらしくしっかりと食事サービスも頂いてきました。
ちなみに、ちょうど波照間島の旅でSFC修行が完了したので、これで晴れてANAの上級会員であるスターアライアンスゴールドになりましたとさ。
コンビニもない、超絶不便な島でしたが、また行きたいと思わせる不思議な島でした。
ニシ浜が一番青く見えるのは日差しがもっとも強い8月、南十字星が見えるのは4月~6月あたりらしいので、次はその時期に合わせてまた波照間島を訪問したいですね!