2019年7月。
アドセンスの垢BAN(アカウント無効)が続出しました。
同月に発生した京都アニメーション放火事件を記事にした人が制裁を受けており、今あらためてGoogleから事件系やモラルの扱いを突きつけられています。
もっとも、垢BANされたから今後アドセンスはダメかと言えばそうではなく、単に今回の出来事は「人の不幸を金にするな」というルールが明確化されただけ。
だからルールを守る人にとっては、アドセンスは今後も稼げます。
ただ、「事件系を書かなければいい」という話でもないですし、垢BANの経緯とGoogleの考え、そして自分が垢BANされないために今後どうすべきかをお話します。
目次
アドセンス垢BAN続出の経緯
京都アニメーションが放火され多くの方が亡くなる痛ましい事件がありました。戦後では最悪の状況になったと言われるほどヒドい事件です。
そこで、トレンドブログ実践者もニュースに飛びつきました。
実際、僕もアニメ好きな人間としていろいろ検索したし、この話題だけでもアドセンスで10万円の報酬を超えるような大きな話題だったと言えます。
ところが、事件から数日後…
「アドセンスのアカウントが垢BANを食らった」
という報告がTwitter上で見受けられるようになりました。また、僕が直接ブログを見ている方は無事だったものの、生徒の友人が垢BANを食らったと報告を受けました。
単なる警告や一時的な広告配信停止ではなく、完全なるアドセンスアカウントの剥奪です。
アドセンス剥奪されると、今後2度とアドセンスは使えなくなり、仮に今まで10万円の報酬があったとしても、未払い分の収益は一切受け取れなくなります。
アドセンス側が具体的な声明を出したわけではありませんが、垢BANを食らった人は、京アニの事件を記事にしている人ばかり。悲惨な事件をネタにしてアドセンスで稼ぐ方法に「待った!」がかけられたわけです。
アドセンスの禁止規約
今回のアドセンスの垢BAN騒動。
降って湧いた不幸のように考える人もいますが、そもそもGoogleは事件や事故(いわゆる、事件系)をネタにしてアドセンス収益化することを禁止しています。
下記は、アドセンスのプライバシーポリシーの引用です。
衝撃的なコンテンツの禁止
ポリシーについて 広告主様とユーザーに配慮して、衝撃的なコンテンツを表示するページに Google 広告を掲載することは許可されません。
陰惨な、生々しい、または不快感を与える記述や画像(例: 血液、臓腑、血のり、性的な体液、人間や動物の排泄物、犯罪場面や事故現場の写真)を含むコンテンツ
暴力行為(例: 銃撃、爆発、爆弾に関する記述や画像、処刑動画、動物に対する暴力行為)を描写するコンテンツ 過度に猥せつな言葉や冒とく的な言葉(悪態や罵り言葉)を含むコンテンツ
まさに、今回の京アニの事件に当てはまりますよね。
このルールは最近できたわけではなく、僕がアドセンスを始めた2012年には存在していました。実のところ、僕自身も2012年にアドセンス垢Banを食らった経験があります。
(今はアカウント復活していますが)
また、アドセンスのルールを破った場合の対応がこちら。
サイトがポリシーや利用規約に準拠していないことが判明した場合は、アカウントを停止または閉鎖させていただきます。場合により、広告のクリックで得られた報酬をお支払いできないこともありますのでご注意ください。
なので、今回垢BANされた人はもともと規約違反。
でも、このルールは厳格に適応されていたわけではなく、アドセンス(特にトレンド系)で事件系を書きまくって50万100万円と稼ぐことも可能でした。
アドセンス側は禁止しているとは言いながら、実際には垢BANになるような事はほぼ無い。特にここ2~3年は垢BANという言葉自体聞かなくなっていたほどです。
なぜ、Googleは垢BANに踏み切ったのか?
アドセンス掲載ブログの質が問われる
今回、アドセンスが垢BANを実行したのは、京アニ事件の影響が特に大きく、そこから生まれるマイナスの影響が無視できないものだったからです。
悲惨な事件に大小がないのは当然。
でも、これほど世の中の多くの人が関心を持つ事件は少ないのも事実であり、多くの人が興味を持って検索すれば、今まで放置していた悪い面も無視できないものになります。
実際、今回の京アニの事件を受けて「トレンドブログ」がYahooニュースに紹介されました。
2012年からずっとトレンドブログを実践してきた僕にとってはかなりショックな記事ですが、記事に書かれているような誰の役にも立たないブログなら批判されても仕方ありません。
そして、トレンドブログの収益源はアドセンス。
なら、トレンドブログへのヘイトはアドセンスへのヘイトにも繋がるわけです。「こんなくだらない稼ぎ方を許しているなんて、Googleはどういう対応をしているんだ」と。
問題が表に出る前にGoogleが先手を打った。その結果、京アニ関連の記事を書いていたブログが軒並み垢BANされたというのが実情です。
アドセンス広告の仕組み
今さらですが、Googleの収入源を知っていますか?
Googleの収入源は広告。
例えば、Google検索すると検索結果に「広告」と書いたサイトが表示されますが、これはお金を払って検索順位を買っている人です。Googleに広告を出しているわけですね。
アドセンスも、表示方法こそ違うものの広告の一種です。
アドセンスはGoogleが直接広告を出しているわけではなく、企業や個人がGoogleに広告費を払って、他人のブログに広告を載せてもらうように契約しているわけです。
広告主がいるわけですね。
では、広告主の立場になったとして考えてみてください。
「京アニの事件は反日!」
と書いている品のないブログに、自分の広告を載せてもらいたいと思いますか?そのブログに喜んで広告費を払いたいと思いますか?
僕なら、絶対にイヤですね。
そんな記事を見ている人が広告を見て商品を買ってくれるとは思えないし、最悪の場合「なんでこんな記事に広告を出してるんだ!」と自分にクレームが来るかもしれません。
Googleにとって大事なのは、あくまで広告主です。
広告主が嫌がっている問題を放置し続けたらGoogleに広告を出す人は減る⇒収益減少につながる。だから、今回の垢BAN対応も当然とも言えるわけです。
ブログもモラルと責任が求められる時代へ
ブログは匿名であり、Twitterと同じようなもの。
どんな無責任な情報を提供しても、自分の名前にヒビが入ることはありません。むしろ未確認情報でも過激な記事を書けば、アクセスや広告収入を伸ばせます。
僕自身、トレンドブログをやっていた初期の頃は情報の正確性はあまり考えていなかったし、記事を書くことに責任があるなんて思いもしませんでした。
(だから、垢BAN食らったわけですが)
けど、今回Googleは
「最低限のモラルや責任を持ってブログ運営しないとダメだよ」
と宣言したわけです。
自分の名前と顔を出したとしたら、今書いているのとまったく同じ記事を書くかどうか?facebookで同じ発言ができるか考えてみろ、と言ってるわけですね。
実際最近のGoogleは、YMYL(生活に関する話題)系アップデートにより、一部ジャンルは記事の内容よりも「誰が」発信しているかを重視するようになってきています。
健康ジャンルで病院や医者のサイトばかり上位表示されるのは、Googleが情報の質やわかりやすさより、発信する人間の責任の所在が明確かどうかを重視している証拠ですね。
今後、アドセンスをどう運営していくべきなのか?
無責任な情報を書かない
Twitterは「バカッター」とも言われますよね。
未成年が飲酒を自慢したり、バイト先で悪いことをしてる画像をアップしたり。ネットで世界中と繋がっている事も考えずに炎上してしまう。
そして何度もバカッターで炎上しているのに、同じような事をやって炎上する人が無限に湧いてくる。これを見て僕らは「バカな人たちだなぁ…」と思うわけです。
でも、ブログだって危険性はTwitterと同じ。
普段は1記事100PVしかなくても、ある日急に1万、10万とアクセスが集まることがあります。それだけの数の人が、あなたのブログの文章を読むわけです。
ちなみに、東京ドームの収容人数は5万5000人。
つまりトレンドブログでアクセスが爆発したら、あなたは満員の東京ドームで自分の記事を読み上げているようなもの。その場面をイメージして、今とまったく同じ文章を書けるかどうか考えてみてください。
ブログは世界中に繋がっているからこそ、無責任なことはできません。
「どうせ誰も気にしないだろう」はバカッターと同じ考え方です。
だから確証のない情報や、調べもしない適当な情報を載せるわけにはいきません。もちろん、これはアドセンスに限らずどんなブログでも同じことですよね。
事件系は狙わない
今回の京アニ事件による垢BANは、
「今後、事件系は厳しく取り締まっていくぞ」
というGoogleの意思表明でもあります。
だから今後は、人が亡くなるような悲惨な事故を記事にするべきではないです。書きたいなら、アドセンスを載せずに誰の迷惑にもならないようにすることが条件です。
もちろん、厳しくすると言っても即アウトになるわけではないと思います。
Googleもすべてのブログを監視できるわけではないし、よほど事件系でアクセスと収益を集めているならともかく、月10万円くらいのブログならバレない事も多いです。
おまけに、今回の垢BAN祭りで「事件系は止めとこう…」と思う人が増えるのを逆手に取り、ライバルが少なくなった市場を独占する考え方だってできます。
でも、これは長続きする手法ではないです。
あくまで「気づかれていないだけ」であって、いずれバレます。モラルや責任と言われてもピンと来ないなら「長期的な収入にならないから自分が損をする」と思ってください。
意義のあるブログ運営をする
「今、自分が書いている記事は誰を幸せにするための記事なのか?」
これを明確に考えたことはありますか?
検索=質問である。
読者は悩みがあって、問題解決するためにGoogle検索して自分のサイトを訪問する。それなら、僕らがブログを書く意味は検索者の悩みの解決の手助けにあります。
でも、この視点でブログ運営している人がどれだけいるか?
特に、トレンドブログは記事の質が低い印象を受けます。自分がお金を稼ぐことばかりに目を向けて、「どんな情報を提供すれば読者の悩みを解決できるのか?」と真剣に向き合わない。
その結果が、今回のような無責任な発信と垢BANに繋がったわけです。
ちなみに、実は僕もトレンドブログに京アニの記事を書いていました。
ただこの記事は「京アニに寄付をするにはどうしたらいいのか?」という情報をまとめたもので、死者や犯人には一切触れていません。何より、この情報は僕自身が知りたかった情報でもありました。
世の中の人が知りたい事を、代わりに調べて記事としてまとめる。
これがブログの存在価値ですし、トレンドだろうとその他のブログだろうと、「誰かの手助けをするために記事を書く」という視点が今のブログ運営には不可欠です。
今回の垢BAN騒動は、「自分が書ける情報を書く」ではなく「読者が求めている情報は何か?」、という視点へシフトする良いキッカケとして捉えるべきですね。
アドセンスの将来性
最後に、アドセンスの今後についてお話します。
今後、さらに利用規約が厳しくなってきたら、アドセンスで稼ぎ続けられるのか?特に、トレンドブログは生き残ることができるんだろうか…?
むしろ僕は、今こそトレンドブログが効果的だと考えています。
(トレンドを教えてる人間のポジショントークと言われそうですが)
今後、アフィリエイト参入者はますます増えます。
特に、企業の参入ですね。今でも資金と人材をもった企業が参入してきており、ビッグキーワードと呼ばれる激戦区はもはや個人では太刀打ちできなくなっています。
そして、今後もジワジワこの傾向は広がっていきます。個人アフィリエイターが狙えるキーワードは確実に少なくなっていくわけですね。
では、個人が狙えるのはどこか?
それは「お金にならない話題」です。
芸能ニュースとかって、まさにその典型ですよね。
芸能人の結婚について書かれた記事があっても、そこから商品の販売につなげるのは難しい。ダイエットや投資など、儲かるキーワードとは正反対です。
でも、アドセンスはそんな記事にも報酬をくれるわけですね。
だからトレンドに限らず雑記ブログ(ごちゃまぜ系)は今後強い。大手ブログが狙わない、スキマキーワードでコツコツアクセスを稼いでいけば良いわけです。
もちろん、アドセンスも広告単価が落ちるリスクはあります。
実際、今でも以前に比べるとトレンドブログの記事単価は落ちている傾向にあります。だから以前は1000PVで300~400円の報酬だったのが、今では300円くらいになっているイメージです。
(実際には、以前と違ってトレンドブログにASPも交えて稼ぐ人も増えてきたので、アドセンス+ASPでブログ運営している人は以前よりも稼ぎやすくなっていますけどね)
ただアドセンス自体は、今後3年5年でさらに報酬が落ちる可能性は否定できません。
もしくは、将来的にはアドセンスもエリートブログと弱小ブログ(要は信頼性の差)で分けられて、報酬も違ってくるかもしれません。少なくとも、今より稼ぎやすくなることはない。
これが最大のリスクです。
もちろん、アドセンス広告そのものが無くなることはないだろうし、1ブログあたりのアドセンス収益は落ちたとしても、しっかりとしたサイトを作っておけば稼ぎ続けてくれます。
だからこそ、まだまだライバルの少ない狙えるキーワードがあるうちにブログを育てるべきだし、「稼げるうちに稼ぐ」をモットーに行動していきたいですね。
